くらっちのクラウド日記

仕事や勉強で得た Microsoft 365 関連の技術知識を投稿していくブログです。

Azure Backup の復元にはストレージアカウントが必要です!

はじめに

Azure で仮想マシンのバックアップと復元を試していたところ、復元するにはストレージアカウントを利用する必要があることが分かった。
ところで、ストレージアカウントって何?

目次

ストレージアカウントとは

Microsoft が提供するストレージサービス(Azure Storage)を使用するのに必要な管理単位。
HTTP or HTTPS 経由でアクセスできる Azure Storageデータ用の一意の名前空間を提供する。
Azure Storage に格納されるオブジェクトは、アカウント名を含むアドレスが割り当てられる。

Azure Storage は、数種類のストレージ アカウントを提供しており、Microsoft が推奨するストレージアカウントの種類は「Standard 汎用 v2」

「Standard 汎用 v2」の特徴

 Azure Storage を使用するほとんどのシナリオで活用できる。

サポートしているストレージサービス
 Blob Storage (Data Lake Storage1 を含む)、Files Storage、Queue Storage、Table Storage

冗長オプション
 LRS、GRS、RA-GRS、ZRS、GZRS、RA-GZRS2

ストレージサービスについて

Azure Storage には BLOB、Files、Queue、Table の4種類のストレージサービスがある。
各種ストレージサービスにアクセスするためには、ストレージアカウントが必要。

Blob Storage

テキスト及び、バイナリデータのためのクラウド用オブジェクトソリューション。
下記目的に最適。
 ・バックアップと復元、ディザスターリカバリー、アーカイブのためのデータ格納。
 ・分散アクセス用にファイルを格納する。
 ・ビデオ及びオーディオをストリーミング配信。
 ・画像またはドキュメントをブラウザに直接配信する。

Azure Storage では、3種類の BLOB がサポートされている。
 1.ページBLOB :最大8TB。Azure IaaS ディスクの基盤となる。
    Azure VM 用ディスクとしても機能する。
    使用できるのはホットアクセス層のみ、クール or アーカイブ層では使用不可。
 2.ブロックBLOB:最大190TBのデータ格納が可能。テキストとバイナリデータを格納。
 3.追加BLOB  :仮想マシンのログ記録用などに最適。

BLOB Storage は、下図のように構成される。

Azure Files Storage

クラウドまたは、オンプレミスのデプロイ用のマネージドファイル共有に用いられる。
下記のような特徴がある。
 ・フルマネージドのファイル共有をクラウド上で提供。
 ・オンプレのファイルサーバーなどを置き換える場合に利用される。
 ・VM に Azure ファイル共有をマウントすれば、開発者は開発ツール等に即アクセス可能。
 ・WindowsLinuxmacOS などに Azure ファイル共有を簡単にマウント可能。
 ・Azure File Sync を使用して、オンプレミスまたはクラウドにある Windows Server にレプリケート可能。

Queue Storage

多数のメッセージを格納するためのサービス。
HTTP または HTTPS を使用してメッセージにアクセスが可能。
ストレージアカウントの容量上限を超えない限り、数百万のメッセージを含めることが可能。
キューは通常、非同期的な処理用に作業のバックログを作成するために使用される。

Queue Storage は、下図のように構成される。
キューは、メッセージのセットを格納するものであり、メッセージの形式は問わない。

Table Storage

Azure 内外部からの呼び出しを受け付ける NoSQL データストアで大量の構造化データを格納する。
データアクセスはとても高速。
Web アプリケーションのユーザーデータ、アドレス帳、デバイス情報、サービスに必要なその他の種類のメタデータなど、柔軟なデータセットを格納できる。

Table Storage は、下図のように構成される。
ストレージアカウントの容量の上限を超えない限り、テーブルにエンティティを保存でき、ストレージアカウントにテーブルを保存できる。

ストレージアカウントを作成する

ストレージアカウント作成の手順

ストレージアカウントを作成するには以下の手順を実施します。
今回は Azure Backup を復元するためのストレージアカウントなので、BLOB ストレージを選択します。

1.Azure を起動する。
2.「リソースの作成」で「Storage account」を検索する。
3.作成をクリックする。
4.基本タブに必要項目を入力して「次へ:詳細設定 >」をクリックする。
  ・ サブスクリプション:バックアップ対象を含む、サブスクリプションを選択
  ・ リソースグループ :バックアップ対象を含む、リソースグループを選択
  ・ ストレージアカウント名:任意の名称
  ・ 地域       :テナントが存在する地域を選択
  ・ パフォーマンス  :Microsoft 推奨の「Standard」を選択
  ・ 冗長性:仮想マシンのバックアップ用であるため「geo 冗長ストレージ(GRS)」を選択
       チェックボックスにはチェックを入れる。



5.「詳細設定」タブは既定値のままでOK
6.ストレージアカウントへ接続するネットワークを決めて次のタブへ移動する。
例では、仮想ネットワーク接続で Azure 内のサービスとプライベートな通信を確保するため 「プライベートエンドポイント」を選択しています。
  ・ 接続方法:「プライベート エンドポイント」を選択して、エンドポイントを追加する。
    - サブスクリプション :4.と同じ サブスクリプション を選択
    - リソースグループ  :4.と同じ リソースグループ を選択
    - リージョン(場所) :4.と同じ 場所 を選択
    - 名前        :任意の名称
    - サブリソース    :VM バックアップ用のため「BLOB」を選択
    - 仮想ネットワーク  :リソースグループに含まれる 仮想ネットワーク から選択
    - サブネット     :仮想ネットワーク に含まれる サブネット から選択
    - プライベート DNS ゾーンと統合する:「はい」を選択
    - プライベート DNS ゾーン:既定値のまま
  ・ ネットワークルーティング:Microsoft 推奨の「Microsoft ネットワークルーティング」を選択



7.「データ保護」「タグ」は既定値のままでOK
8.「確認および作成」タブで設定内容を確認した後、「作成」をクリック。
9.デプロイ完了を待つ。

デプロイが完了すると、ストレージアカウントが利用できるようになります。
これで Azure Backup 復元の際にストレージアカウントを指定できるようになります。

参考URL

・ Docs - ストレージ アカウントの概要
・ Docs - Azure Blob Storage の概要
・ Docs - Azure Files とは
・ Docs - Azure Queue Storage とは
・ Docs - Azure Table Storage とは
・ Docs - ストレージ アカウントを作成する