くらっちのクラウド日記

仕事や勉強で得た Microsoft 365 関連の技術知識を投稿していくブログです。

【Outlook】送信メールの取り消し機能を管理者視点で確認してみた

はじめに

Outlookの送信メール取消機能については多くの記事が公開されていますが、今回は少し視点を変え、Exchange管理者の立場から、送信取消がどのように処理・記録されているのかを検証した結果をご紹介します。

目次

メール送信取消

Outlookの「送信メールの取消」機能は、以下のすべての条件を満たす場合にのみ有効です。

1.送信者と受信者が、法人向けのMicrosoft 365を利用していること
2.送信者と受信者が、同じ組織のユーザーに送信したメールであること
3.送信者と受信者が、Microsoft Exchangeを利用していること
4.双方が、Outlookを利用していること
5.送信したメールを受信者が開封していないこと

取消を追跡してみよう

組織内アカウントへのメール取消操作

 同じ組織に所属するアカウントに対するメールは条件に合えば、送信の取消が可能です。
 取消に成功すると、送信者には以下のようなレポートメール(図1)が届きます。
 

 図1の「View Message Recall Report」をクリックすると図2のレポートを閲覧できます。
 今回は「正常に取り消しされました」と表示されており、リコール成功です。
 

Exchange 管理センターでのログ確認

 実際に Exchange 管理センターでこの取消処理をメッセージ追跡した結果、下記3件のログが確認されました。
 

1件目:最初に送信したメール(取消対象)

 送信者から受信者にメールが正常に配信されたことを示しています。
 

 ・Receive:
   サーバーがユーザーからのメッセージを受信した。
   Exchange内でメールの処理が開始されたタイミング。
 ・Submit:
   Exchange内でメッセージがトランスポート サービスに送信されたことを示す。
 ・Deliver:
   受信者のメールボックスに配信された。

2件目:「送信取り消し(メッセージ リコール)」の処理結果

 「送信取り消し」メールは特殊な動作で処理されるため、ログ表示も通常とは異なります。
 

 ・Submit:
   「メール取り消し」が Exchange のトランスポートサービスに提出された。
   Exchangeがリコール要求の処理を開始した合図。
 ・Defer:
   処理待ち(一時的な配信保留)が発生。
   (受信者のメールボックスが混雑していた可能性あり)
 Drop
   取消メールの処理が完了し、リコール要求自体は破棄された(処理成功)

3件目:取消後に送信されたレポートメール

 このメールは、Exchange側から送信者に対して送信された「取消結果の通知」です。
 

 ・Receive:
   受信者側のトランスポートサービスが取消メッセージを受け取った。
 ・Deliver:
   受信者のメールボックスに配信された。

 ※このログには「Submit」が含まれていません。
  これは、ユーザーやアプリケーションが送信したのではなく、Exchange側からのシステム通知であるためと考えられます。

参考

メッセージ追跡ログのイベントの種類(Microsoft 公式)